Chrome UX Report(CrUX)は、対象となるChromeの閲覧から集計した、実際のユーザー体験のデータセットです。Googleが提供しています。CrUXが報告するのはフィールドデータ、つまり実環境のユーザーを観測した値です。ページの読み込みをシミュレートしたものではありません。そのため、公開ページやオリジンをユーザー全体がどう体験したかを示せます。一方、ラボテストは、管理された条件での1回の訪問を診断するのに役立ちます。
CrUXが測定するもの
CrUXは、Core Web Vitalsを含むユーザー体験指標について、分布とパーセンタイルを公開しています。このデータセットはプライバシーに配慮した集計データです。セッションリプレイでも、アナリティクスでも、合成スコアでもなく、訪問者全員を網羅した調査でもありません。強みは、1台のテスト用マシンでは再現できない、多様なデバイス、ネットワーク、閲覧条件が反映されている点です。
フィールドデータは状況を示すものであって、診断ではありません。LCPの分布が悪ければ、最大コンテンツの表示が遅いというユーザー体験は分かります。ただし、原因となるアセット、キャッシュのルール、バックエンドの依存関係までは分かりません。実装を変更する前に、ページの確認、ネットワークの証拠、再現可能なラボテストをCrUXと組み合わせます。
URL、オリジン、対象条件
URLのレコードは、正規化された一つのページアドレスに固有のものです。オリジンのレコードは、そのオリジン全体で、対象となるページ読み込みの体験をまとめたものです。この違いは重要です。オリジン全体は良好に見えても、収益やコンテンツで重要なURLは悪い場合があります。また、トラフィックの少ないURLにはレコードがなくても、そのオリジンにはある場合があります。
| 知りたいこと | 使うもの | 限界 |
|---|---|---|
| このページをユーザーはどう体験しているか。 | URLのレコードを照会する | 対象となるトラフィックが十分でないページでは、利用できないことがあります。 |
| サイト全体のパフォーマンスはどうか。 | オリジンのレコードを照会する | テンプレートや個別ページ間の差が見えなくなることがあります。 |
| 読み込みが遅い原因は何か。 | 管理されたラボテストを実行し、ページを調べる | ラボテストは、同じユーザー母集団を測定しているわけではありません。 |
Chromeは、ユーザー、オリジン、ページごとに対象条件を別々に定めています。公開されて発見可能であることと、十分な利用者数が必要で、利用者数の正確なしきい値は公表されていません。したがって、URLのレコードがないのは、データを利用できないという状態です。そのページが高速である、遅い、重要でない、または特定の理由で検索から除外されている、という証拠にはなりません。
フィールドデータは慎重に読む
- プロトコルとホストを含め、URLかオリジンかを正確に記録します。
- フォームファクターは意図して選びます。デバイス全体を集計した結果である場合は、その旨を明記します。
- 収集期間を確認します。レスポンスがフィールドデータ、一部の指標のみ、レコードなしのどれなのかも書き留めます。
- 分布と該当するパーセンタイルを合わせて読みます。単一の要約値では、すべてのユーザー体験を表せません。
- 時間をまたいで、同じ条件同士で比較します。フィールドデータ、アナリティクスのセッション、合成スコアを混ぜて、独自の指標を作らないでください。
不完全なフィールドデータは、不完全だと明示します。測定できなかった状態は、良好な結果ではありません。オリジン単位の結果は、すべてのテンプレートの証明にもなりません。この区別を徹底すると、URL単位のレコードがないことをパフォーマンスの結論にすり替える、よくあるレポートの誤りを防げます。
調査と検証
CrUXが問題を示したら、まず影響を受けている範囲を調べます。問題がURLとオリジンの両方に出ているかを確認し、そのうえで適切なページを管理された環境で再現します。レンダリング後のHTML、レスポンスタイミング、重要なリソース、画面上で最大の要素を調べます。変更は元に戻せる形で行い、データセットに新しい訪問が反映されるだけの期間が過ぎてから、フィールドデータを再度測定します。
- リダイレクト後に公開された成功レスポンスが返ることを確認します。対象になるかどうかは、発見可能であるかに左右されます。
- ページ単位の判断には、URL単位のレコードがあればそれを使います。オリジン単位の結果は、集計値として説明します。
- フィールドデータの傾向と因果関係は分けて考えます。CrUXの変化は、リリース、トラフィック構成、デバイスの変化と重なることがあります。それだけでは理由の証明にはなりません。
- レポートには、元のレスポンスの範囲と日付を残します。後の比較で、同じ識別子とディメンションを使えるようにするためです。