SERM:検索結果での評判管理

ブランド名で検索したときの結果を監視し、事実の誤りや不足を正し、自社の情報を強化する方法。批判の削除や抑え込みは約束しません。

見込み客や求職者が御社の社名をGoogleで検索したとき、何が表示されるでしょうか。SERM(Search Engine Reputation Management)は、その表示を管理するための手法です。好意的な結果を強め、否定的な結果を押し下げたり、影響を弱めたりします。

SERMがORM(Online Reputation Management)と違うのは、あらゆるチャネルではなく検索結果に絞っている点です。好意的な口コミであふれたTelegramチャンネルがあっても、Googleの上位10件が否定的な記事や過激なフォーラムのスレッドで埋まっていれば効果はありません。

SERMはコンテンツの削除が目的ではありません。インターネット上の情報は、多くの場合、削除できません。望ましくない結果を1ページ目より下へ押し下げるために、好意的な、または中立的な結果に置き換えることが目標です。

SERMとは

SERMは、ブランド名での検索に特化したSEOの一分野です。対象キーワードは、社名、創業者名、製品名、そして「口コミ」「詐欺」「苦情」「不正」「トラブル」といった語を組み合わせたものです。

ブランド名の検索

SERMが対象とするのは、「[会社名]口コミ」「[名前]詐欺」「[製品名]不具合」など、自社について人が検索するあらゆるクエリです。

攻撃への防御

競合が意図的に否定的なコンテンツを仕込むことがあります。SERMはブランドの評判を守る、能動的な防衛線です。

判断材料としての検索結果

ブランド名の検索結果は、サイトを訪れる前に目にする情報を左右します。ただし、売上への影響は事業ごとに測定する必要があります。

Googleはブランド名の検索結果をどう決めるか

ブランド名での検索にも、Googleは情報提供型のクエリと同じランキングの原則を適用します。関連性、情報源の権威性、行動シグナルです。違いは、ブランドには唯一の「正解」がないことです。Googleは、インターネット上で自社について言われていることをそのまま表示します。

ブランド名で検索したときの上位10件には、通常、自社サイト、SNSのページ、口コミサイト(Googleマップ、TrustPilot)、メディアの記事、フォーラムの議論、YouTube動画が含まれます。

結果の種類例管理のしやすさ
公式リソースWebサイト、SNS、YouTubeチャンネル完全:内容を自分で管理できる
口コミサイトGoogleマップ、TrustPilot、G2一部:口コミに返信できる
メディアとブログプレスリリース、パートナーのコンテンツ、レビュー記事一部:PRやアウトリーチを通じて
フォーラムとQ&AReddit、Quora、Hacker News低い:返信、規約違反はDMCAで対応
求人アグリゲーターGlassdoor、Indeed低い:採用ブランディングの取り組みが必要

評判の監視:何をどこで追うか

SERMの最初のステップは、現在地を把握することです。優先するブランド名クエリごとに上位10~20件の内容を記録し、時間の経過に伴う変化を追う仕組みを作ります。

  1. クエリのリストを作る:[ブランド名]、[ブランド名]口コミ、[ブランド名] + [製品名]、[創業者名]、[ブランド名]詐欺、[ブランド名]苦情
  2. シークレットモードで、地域を変えて検索結果を確認する。結果はパーソナライズされるため
  3. 優先クエリにGoogleアラートを設定する。新しい言及があるたびにメールで通知される
  4. 月に1回、Semrush Position TrackingまたはAhrefs Rank Trackerで検索順位を追う
  5. Google画像検索とGoogleニュースは別に確認する。ビジュアルの第一印象を左右するため
1日目現在の検索結果を確認

優先するブランド名クエリ、地域、デバイスから代表的なものを選んで確認します。対応が必要な情報源と事実上の問題を記録します。

2~3日目監視を設定

Googleアラート、Brand24、Mentionで、Web上の新しい言及をリアルタイムに通知します。

毎週検索順位を追跡

Semrush Position TrackingやRank Trackerで、優先するブランド名クエリごとの検索順位の変動を監視します。

毎月振り返りと計画

上位10件の変化を記録し、翌月のSERMの優先順位を見直します。

確認できる情報を充実させる

自社の情報を正確に公開し、プラットフォームが認めている範囲で適法な形で返信し、事実の誤りや不足を正します。検索結果は、独立した編集判断とアルゴリズムによって決まります。そのため、掲載ページ数や検索順位の結果を約束してはいけません。

適法なコンテンツを法的圧力で削除しようとしても、うまくいくことはまれで、評判のリスクも生じます。ストライサンド効果で、隠したかったものにかえって注目が集まるためです。コンテンツの押し下げのほうが現実的な道です。

自社の情報を正確に公開し、プラットフォームが認めている範囲で適法な形で返信し、事実の誤りや不足を正します。検索結果は、独立した編集判断とアルゴリズムによって決まります。そのため、掲載ページ数や検索順位の結果を約束してはいけません。

確認する情報源

読み手の目に入る情報源、その事実の正確さ、取れる適法な対応を確認します。情報源の種類を、上位に表示される可能性の目安として扱ってはいけません。

公式サイト(トップページ、会社概要)確認
SNS(LinkedIn、Facebook、Instagram)確認
Wikipedia / Wikidata(掲載条件を満たす場合)確認
口コミサイト(Googleマップ、TrustPilot)確認
メディア掲載記事とプレスリリース確認
会社に関するYouTube動画確認

SERMのコンテンツ戦略

SERMのコンテンツとは、ブランド名のクエリで上位に表示させるために、専用に作成または最適化したページです。自社について好意的に語る権威あるリソースが増えるほど、否定的なコンテンツが入り込む余地は小さくなります。

  • Webサイト:会社概要、チーム紹介、プレス、導入事例、お客様の声のページを、[ブランド名] + 「口コミ」「事例」向けに最適化する
  • ブログ:ブランドに触れる一人称の記事。導入事例、創業者インタビュー、専門家のコメントなど
  • SNS:正しいブランド名を使い、説明文にブランド関連のキーワードを入れた、充実して更新も活発なプロフィール
  • メディア:業界メディアへの寄稿、専門家コメント、インタビュー
  • Q&A:Quora、Stack Overflow、専門分野のフォーラムでの企業としての回答
  • YouTube:製品紹介、チームのインタビュー、ウェビナー。動画はブランド名の検索で上位10件に入ることが多い
知名度のある企業にWikipediaの記事がないなら、最優先で対応すべき課題です。Wikipediaは、ブランド名の検索の大半で上位3件に入り、Googleから中立で権威ある情報源と見なされています。

口コミの管理

Googleマップ、TrustPilot、App Storeなどの口コミは、ブランド名の検索で上位5件に入ることが多く、コンバージョンに直接影響します。星の評価は、サイトをクリックしなくても検索結果の中で見えます。

Googleマップ:ビジネスプロフィールは、ブランド名の完全一致検索でほぼ必ず上位3件に入ります。評価が4.0を下回ると検索結果にそのまま表示され、CTRが大きく下がります。評価は4.5以上を維持し、否定的な口コミにも好意的な口コミにもすべて返信します。
否定的な口コミが付いたとき
24時間以内に返信する

中立でプロフェッショナルな口調で返信します。問題を認め、個別に解決することを申し出ます。他人の口コミを削除したり、公開の場で言い争ったりしてはいけません。

問題が解決したとき
口コミの更新を依頼する

結果に顧客が満足していれば、口コミの編集か、解決までの対応を反映した新しい口コミの投稿を検討してもらえないか、丁寧に依頼します。

継続的に
好意的な口コミが集まる流れを作る

購入やサービス提供が無事に終わったら、口コミを依頼するメールを自動送信します。GoogleマップやTrustPilotへの直接リンクを付けると、手間が減ります。

定期的に
すべてのプラットフォームを監視する

Googleビジネスプロフィールで、新しい口コミの通知を設定します。返信管理にはReply Managerを使うと、一元的に対応できます。

SERMツール

ツール用途費用
GoogleアラートGoogleの検索インデックスにある新しい言及を監視無料
Googleビジネスプロフィール企業プロフィールとGoogleマップの口コミを管理無料
Brand24メディア、ブログ、SNS全体の言及をリアルタイムで監視月額49ドルから
Semrush Brand Monitoring言及の追跡と競合比較Semrushに含まれる
Ahrefs Alerts新しい被リンクとブランドの言及を通知Ahrefsに含まれる
Mention.comメディア、SNS、ブログを感情分析つきで監視月額41ドルから
Yext数十のディレクトリにまたがるNAPデータとプロフィールの管理エンタープライズ向け

SERMチェックリスト

検索エンジンでの評判管理(SERM)の仕組み。

最低限のSERMスターターパック

  1. 「[ブランド名]」「[ブランド名]口コミ」「[ブランド名] [主力製品]」の上位20件を確認する
  2. Googleビジネスプロフィールの写真、説明、営業時間を整えて、オーナー確認を済ませる
  3. 主要なSNS(LinkedIn、Facebook、Instagram)にプロフィールがなければ作成する
  4. 会社概要、チーム紹介、導入事例のページを、ブランド名のクエリ向けに最適化する
  5. ブランド名 + 「口コミ」「詐欺」「苦情」でGoogleアラートを設定する
  6. 否定的な口コミへの返信スクリプトを作る。口調、構成、エスカレーションの手順を決める
  7. 契約成立をきっかけに、好意的な口コミを集める流れを始める
  8. 月に1回のSERM監査を予定に入れる。上位10件は変わったか、新しい否定的なコンテンツはないか
SERMを定期的に見直すと、新しい情報や不正確な情報に気づきやすくなります。事実の訂正、プラットフォームへの対応、法的助言のどれが適切かも判断できます。
否定的な記事をGoogleから削除できますか?
直接はできません。Googleがコンテンツを削除するのは、法的な違反がある場合だけです。GDPRの対象となる個人データや、明らかに違法な内容などです。それ以外の場合は、サイト所有者に直接、または弁護士を通じて連絡できます。ただし、最も確実で適法な方法は、削除ではなく好意的なコンテンツによる押し下げです。
SERMにはどのくらいかかりますか?
期間は、クエリ、現在の検索結果、公開元の判断、取れる適法な対応によって変わります。見直しのサイクルを決めて、何が変わったかを測定してください。検索結果が改善する時期や検索順位の約束はできません。
SERMとORMの違いは何ですか?
ORM(Online Reputation Management)は、検索、SNS、フォーラム、メディア、口コミサイトなど、すべてのチャネルが対象です。SERMはORMのうち、検索結果だけに絞った専門分野です。Google経由の集客に頼る事業では、検索が見込み客の第一印象を決めるため、SERMはほかのどの評判管理チャネルよりも効果が大きくなります。
競合が意図的に否定的なコンテンツを仕込んでいる場合はどうすればよいですか?
評判を狙ったネガティブSEOと呼ばれる行為です。第一に、日付入りのスクリーンショットで証拠を残します。第二に、プラットフォームの運営者にDMCAまたは法的通知を送ります。第三に、削除を待たずに並行して押し下げを進めます。組織的な攻撃の場合は、弁護士に相談してください。
SERMは社内でできますか。それとも代理店が必要ですか?
監視と基本的な防御は社内でできます。Googleアラートは無料で、Googleビジネスプロフィールに技術的な知識は不要です。すでに定着した否定的なコンテンツの押し下げは難しく、メディアとの関係、SEOの専門知識、コンテンツ制作のリソースが必要です。メディア掲載やブログ記事など、社内に体制がない部分は、代理店に任せると早く進みます。最初のSERM監査と基本チェックリストの対応は、社内で1~2週間あれば実施できます。

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